私を走らせるもの vol.2 北海道編(2)
思い出の風景、季節の味覚、そして本や映画、音楽などなど、あなたを旅へと誘うものは何ですか? あの頃見た光景が忘れられなくて…。小説に出てきた風景を自分の目で見たくて…。この曲を聴くと無性に旅に出...
> 私を走らせるもの vol.1 北海道編(1)
思い出の風景、季節の味覚、そして本や映画、音楽などなど、あなたを旅へと誘うものは何ですか?
あの頃見た光景が忘れられなくて…。小説に出てきた風景を自分の目で見たくて…。この曲を聴くと無性に旅に出たくなってしまって…。あの人に逢いたくて…。など、時に切なく、時に衝動的に、私たちを旅へ駆り立てる「装置」があります。不思議なことに、ほかの人にとっては何でもないものが、自分にとってはとても大きな影響を与えることも少なくありません。そんな、「私を走らせるもの」について、ツーリングマップル著者陣に語っていただきます。
1988年夏。
「天然のプラネタリウムが見られるよ!」
旅の途中で出逢って仲良くなった女性ライダーを誘った。
「今日から道東へ移動するけど、もしここに戻って来られたら一緒
そう言って、走り去って行った彼女だったが、数日後、本当に美瑛
「クマさん!星空を一緒に見ようよ!」
高校生の頃、写真家「前田真三」氏の写真に出会った。美しい丘に
北海道美瑛町は、旭川市の南側に位置する標高500mの町で、十
多くの人が「凄い自然だ!」と言うけれど、あの景色は、美瑛の森
バイクに乗り始めて、最初の北海道ツーリングで美瑛の丘を走った
北海道にハマるキッカケは「美瑛の丘」だったのだ。
私が日本一周を走っていた1988年は、美瑛はまだまだ静かな場
有名な「セブンスターの木」(北海道69B-2)には駐車帯は無
その日も美瑛の丘巡りを終えて「さて、今日の夕食はどうしようか
「クマさん!約束通り帰って来たよ。まず夕陽を見に行こ!そして
自分のバイクにタンデムして、まず「マイルドセブンの丘」(北海
二人で昼間の熱が少し残ったアスファルトに寝転がり、空を見上げ
「わ~!凄いよ!凄い!!初めてこんな星空を見たよ!」
彼女は声を上げ喜ぶ。
「美瑛まで戻って来て、良かった!ありがとう、クマさん!」
「また、いつか一緒に星空を見よう」
こうして、私にとって「美瑛の丘」は、ただ美しいだけの丘ではな
あの約束は、今も果たせていない…。