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ツーリングマップル2020年版 改訂のポイント  表紙撮影[8]東北・カメラマン編 by 巣山悟

ツーリングマップル2020年版 改訂のポイント  表紙撮影[8]東北・カメラマン編 by 巣山悟

by touring_m@pp1e

更新日:2020年3月16日

表紙撮影にまつわる悲喜こもごも(編集部やデザイナーへの恨み節や皮肉も!?)を、各エリア著者に語っていただいたこのシリーズコラム。カメラマン視点での表紙撮影のお話も聞いてみたい!ということで、「カメラマン編」と題し、東北版・関東甲信越版の撮影を担当している巣山カメラマンに、7エリアの撮影の中でもっとも”激しい”と噂の東北撮影行の様子を語っていただきます。

2020年版表紙撮影よもやま話:カメラマン編

2020年版「ツーリングマップル」が無事リリースされてホッとしました。表紙は毎回、編集部(幻)さんとデザイナーO氏が決定、レイアウトするので、刷り上がって見本誌を手にするまでは、どの写真が選ばれるか分からずドキドキなんです。

 

「旅情感」を写すツーリングマップルの撮影

なので、いいロケーションでは全カットを表紙に使えるように、文字を入れるスペースや上下左右の余裕をもって撮影します。メーカーカタログのように、バイクのサイドシルエットをビシッとみせたり、超望遠で迫力の走行シーンを狙って、といった撮り方もしますが、ツーリングマップルの表紙に関しては、「旅情感」が一番重要だと思っています。

「どこからきてどこへ向かうのだろう」

「この景色を見ながらなにを思っているのかな」

「このあとウニ丼かな海鮮丼かな」

…などなど、手に取ったひとそれぞれにストーリーを感じられる表紙でありたいと思っています。

いつも、いくつか自分なりに候補カットを大きめに出力して渡すのですが、それが選ばれたことはたぶんなかったかな…。

「今年はこれを表紙に選んだか!おお!裏表紙にはこれか〜」

と、カメラマン自身、驚きのあるリリースを毎回、楽しみにしています。この緊張感がたまりません。

▲これからどこへ向かうのだろう(本当に。)

 

賀曽利さんとの撮影

ぼくにとって12年目となる東北の表紙撮影。鉄人ライダー賀曽利隆さんに毎年同行し撮影してきました。賀曽利さんのなにが「鉄人」かといえば、アフリカ大陸縦断、パリダカ出場といったすさまじい経歴はもちろんですが、やはりバイタリティあふれる行動力がその真髄です。

撮影初日は、午前6時に新潟と山形の県境、「鼠ヶ関」で待ち合わせました。賀曽利さんは前日、新潟に宿泊していたので、午前6時に集合するためには、午前4時台に出発してきたはず。

そこから昼食をとる以外、午後7時過ぎまで、宿泊地の能代までずっと走り続け、移動し続け、撮影され続け、その体力と精神力は、とても70歳を超えているとは思えません。年々、衰えるどころか逞しくなっているようにすら感じます。

以前、あるインタビューで、

「賀曽利さんにとってのオートバイとは?」

という質問に、迷いなく、

「健康器具です!」

と答えられていましたが、本当にその通りですね。

東北撮影は、賀曽利さんの後ろを自動車で追いかけていきますが、朝から晩まで食事以外は、ハンドルを握っているか、カメラを握っているか。こちらも緊張感のある撮影です…。

▲健康器具というか、このはしゃぐ姿を見ると「おもちゃ」にも見えますね

 

快晴が欲しければ晴れている場所へ走れ!?

そして、ロケ撮影でなんといっても苦労するのが天気です。ツーリングのイメージカットとくれば、青空とあふれる陽射しがどうしても欲しい。それだけで旅に出る理由になる。

夜中に部屋で、旅の計画を立てるとき、ツーリングマップルの表紙に広がる青空が、旅の妄想をアレコレと盛り上げてくれるんじゃないか。あるいは曇天や雨のツーリング時にも、この表紙が元気づけてくれるんじゃないか。という思いもあるのです。

そんなわけで、表紙撮影ではいつも、「青空」と「陽射し」にこだわって、臨機応変に行程を組んでいきます。言い方をかえると行き当たりバッタリ?いえいえ、そんなことはありません。

「快晴のツーリングを楽しむ秘訣は晴れている場所へ行くことだ!」

とは賀曽利さん談。

おかげさまで、”賀曽利&巣山コンビ”の快晴率は、九割以上なんじゃないかな。東北地方って、南北に長いだけでなく、太平洋側と日本海側で気候が違うからか、

「こっちがダメでもあっちは晴れてる!」

ということが多いのです。そんなところにもずいぶん助けられているように思います。

それにしても、躊躇なく想定ルートを変える柔軟な判断力。これが、旅をおもしろくすると思うのです。

「写真で見たあの場所へ行きたい」

「前食べたあの料理をまた食べたいなぁ」

「この道を走りきる!」

などなど、旅にはいろいろな目的がありますが、思った通りにすべてが進むとは限りません。状況に合わせて、いつでも見直してリルートする。むしろそうしたイレギュラーをこそ楽しんでしまう。目的地に着くための旅ではなく、目的地に着くまでを楽しむバイク旅らしい旅、そういった自由さを、賀曽利さんとのツーリングではいつも感じています。

2020年版撮影行の一日目は能代に泊まりました。この日、2019年6月18日の夜、『山形県沖地震』が発生。新潟県村上市で震度6強の揺れを観測。実は、ぼくは撮影前日、村上からほど近い海岸沿いの「道の駅あつみ」で車中泊をしていたのです。津波注意報も発令された地震、一日違っていたら、大慌てだったことでしょう。

能代での夜、あらためて各地で頻発する天災のことを想い、無事に旅ができることに感謝。翌日からの取材も安全に進むよう祈りながら就寝しました。その後の二日間は好天に恵まれ、賀曽利さんにも

「表紙が十年分くらい作れる撮影行だ!」

といってもらえるほど、充実した撮影となりました。

残念ながら、世界中がコロナウィルスで大混乱な現状ですが、この時間にしっかり身体とバイクのメンテナンスをして、ツーリングマップルを片手に表紙や冊子の写真を見て、妄想をふくらませて、もう少し季節が進むのを心待ちにしましょう!

▲お決まりのポーズ。元気が出ますね!

 

珠玉のアザーカットたち

せっかくなので、表紙には選ばれなかった写真をこちらでもいくつか公開させてくださ〜い!

▲遊佐町からの眺め。近づくにつれて鳥海山山頂の雲がとれていく。

▲(54 F-6) 残雪の鉾立展望台付近。南から雲が追ってくるので、このあと高速道路で一気に男鹿半島へ向かうことに。

▲(70 I-4)男鹿半島戸賀湾。予想通り青い空に白い雲。日差しが柔らかい。

▲(82 G-7)夕暮れ時の米代川河口。朝、三瀬の夕日地蔵神にお参りした御利益か、三日間、夕日を浴びることができた。

▲(97 E-3)二日目の夕方、龍飛崎したの龍飛裏海。小泊半島が奥に見える。まるで異国のような景色だ。

▲(97 E-3)同じく龍飛裏海からの夕景。雲間からの天使の梯子が美しい。

▲(89 K-5)十和田湖畔。三日目は夏空に。奥入瀬渓谷にあれだけの水量が流れでているのに十和田湖の水は減らないことが不思議だ。

▲(73 H-1)八幡平アスピーテライン、秋田岩手、県境付近。秋田県側と、岩手県側でガラリと天気、気温が変わることがある。

▲(73 M-3)開放感あふれる夕景の岩手山パノラマライン。 

▲(74 B-3)焼走り溶岩流。夕方になり雲が動き岩手山の山体も姿を現した。何度来てもこの景色には圧倒される。 ここが20年版のゴールとなった。

 

 

 

筆者:touring_m@pp1e

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