> ツーリングマップル2020年版 改訂のポイント 表紙撮影[3]中部北陸編 by 内田一成
ツーリングマップル2020年版 改訂のポイント 表紙撮影[3]中部北陸編 by 内田一成
デザインを全面リニューアルした2020年版の表紙。しかしその主役がツーリングシーンを想起させる「写真」であることに変わりはありません。むしろ写真をより魅せるためのデザインにしたとも言えます。
その年の「顔」にもなる表紙写真撮影は、各エリア著者ライダー・カメラマンにとっても力の入るもの。天気が悪ければ天気が良い方に移動したり、ひたすら待ってみたり。翌日もう一度チャレンジしたり。苦労して撮って、会心の出来!と思った写真が結局使われなかったり・・・。様々なドラマがその裏にはあります。そんな、今年の表紙撮影にまつわるお話を、各エリア著者に語っていただきました。
2020年版表紙撮影よもやま話:中部北陸編
例年、表紙の撮影は気合をいれた「走り」の写真をメインにすることにしているのだが、デザイナーの好みの問題なのか、走りのイメージが使われることが少ない。
そんなわけで、2020年版の取材では、
「どうせ気合をいれて走っても使われないんだから、走りなんて一切いらねえわ」
と不貞腐れて、「走り」は一枚もなしに、「止まり」の写真でお茶を濁した。
…というのは冗談だけれど、走りよりも止まりの写真をメインにしたのは確かで、しかし、よりによって「止まり」どころか「就寝」の写真が使われるとは想像もしていなかった(笑)。
「就寝」のR版写真
この「就寝」写真は、信州の中山高原で、ここにある「カフェ・ラビット」で食事をして満腹になって、草原で涼しい風に吹かれているうちに本気で眠くなって、爆睡しているところ。こんな写真を撮られたことも知らなかった。
ところで、この写真、見方によったら、とても危うく見える。BMW1250GSという重量級マシンを不安定な草原にサイドスタンドだけで止めているわけだから、そのうちスタンドがめり込んでいって、熟睡しているバカ親父に倒れかかりそうだ。
だが、ご安心あれ。こういうところにバイクを止めるときは、必ずスタンドがめり込まないようにプレート状のものを敷いてますからね。だけど、自分で見ても怖い気がするなこの状態は(笑)。
「昼寝で熟睡」といえば、20代の頃に北海道をツーリングしていて、あまりにも眠くなって、中央分離帯で寝ていたら、血相かえた交通警官に起こされたことを思い出した。熟睡していて、まったく起きる気配がないので、
「てっきり事故に遭ったものと思って、救急車を呼ぶところだった」
と、寝ぼけ眼をこすりながらようやく目を覚ましたぼくに、彼は言った。昔はよくこんなふうに、草原や、ときには道端に寝転がって昼寝をしたものだった。
通常版は白樺林
通常版のほうは、なんだか月並みな「止まり」カット。あんまり芸がなくて恐縮なくらいだ。場所は美ヶ原から少し下った白樺林の中。ここはけっこう個人的に気に入っているところで、ビーナスラインを流したら必ず立ち寄る。
この日は快晴だったけれど、ここは、晴れたときよりも、ガスが掛かかって、風景に溶け込んでいってしまうようなときのほうが、場所としては似合っている。
▲白樺林の別カット
そういえば、ここへ降りてくる前に、美ヶ原で北アルプスの稜線を遠望する、ドーンと抜けた風景を狙おうと待っていたのだが、そこではいっこうにガスが晴れず、「これじゃ、どこだかわからないし、そもそも背景が真っ白では絵にならないから、他の場所へ行こう」と移動してきた一瞬だった。
▲ガスで真っ白な美ヶ原
もしや、背景真っ白の美ヶ原の写真ならロゴも並べやすいし、デザイナーのOならこれを使うんじゃないかとも思ったけれど、さすがにそこまで大胆なことをする勇気はなかったようだ(笑)。
2021年版の表紙撮影は、やっぱり原点に返って、元気な走りのシーンを主体にしよう!!